なんで俺じゃあかんねん

「坂井さんって、最近どう?」

「どうって?」

「いや・・・

やっぱり、俺があんなことみんなの前で言ったから、クラスの奴らにも結構冷やかされてて。

俺的にはラッキーやけど、くっつけようとされてる感じで。」

・・・・はあ?

余計なことを。

「でも、坂井さんはいつも困ったように笑ってるだけやから。

俺とも、やっぱりぎこちなくて。

あれからあんまりしゃべってないし。

家ではなんか変わった様子とかあるかな?って。」

真田先輩は気遣いに満ちた表情でははっと笑う。

「・・・すいません。

実は俺も、テストとかであんまり葵としゃべってなくて。」

これはほんま。

「飯食ってるときとかは、まあ、普通な感じですけど。」

これはちょっと嘘。

でも、あの葵の挙動不審さは、きっと真田先輩じゃなくて俺のせいやし。

「そ、っか・・・。」

見るからに落ち込む先輩を見て、内心罪悪感があった。