「好き、やねん。」



6月、最初の水曜日。

部活が終わってからでいいから来てほしい

といわれて、やってきた初めて入った1組の教室。


俺は、高校ではじめて告られた。





「入学したときから、ずっとかっこいいなって思ってて

何回かバスケ部にも見に行ったことあって・・・

やっぱり、坂井くんが一番かっこいいし、

それに、すっごい優しいし。」


相手は、結構可愛い子で。

丁寧にアイロンで巻かれた髪と、妙に艶のある唇以外は

とくにいじった形跡もなく、もともと可愛い子なんだと思う。

スカートのたけも短い。

そこからのびる足も、細いし白い。

肩幅も小さくて全体的に華奢。

そのくせ、胸はある。腰もくびれてる。


俺は、相手の言葉もろくに聴かずに完全に第3者の感覚でその子を評価していた。



でも、ひと言だけひっかかった言葉。

"優しい"

俺、この子に優しくした覚えない。

ていうか、しゃべったこともない。

その前に、この子だれ?


「ウチじゃ、あかんかな。」


一人称、ウチなんや。

こういうタイプの子って一人称名前なイメージを勝手に持ってんねんけど。