機内

「どうしよう!
離陸しちゃうよ!」

可奈子ちゃんはどうやらテンパっているらしい

「離陸しないと飛べないよ」

指定席のため、隣は夏成になったようだ
さっきからずっといじられてる

私は窓際で、これは寝れる!
と思っていたが、となりは秋一だ
テンションの高さで寝れないよ

「えーっときみはー」

「遥花です」

名前も覚えてないなんて
なんていい結果なんだろう

「ごめん。名前覚えるの苦手なんだ」

さわやかだねぇ、長身で、性格もいいなら
もてるよね・・・ふあぁー

「おれは柳下秋一、バスケ部なんだぜ」

・・・知ってるよ。

「今回は偶然同じ班なんだよね
よろしく」

ほんと、必然的な偶然・・・

「遥花ちゃんって無口なんだね」

無口じゃないよ。眠たいんだよ!
いい加減寝かせてよ!

「少し眠たくて・・・」

「あ、睡眠の邪魔しちゃった感じ?」

やっと気づいた

「いえ、ぜんぜん」

「横になって寝なよ
そっちの方がぐっすり寝れるよ」

なぜか自分の膝をポンポン叩き出した秋一
それはなにか?私が膝うう枕されろと?

「いえ、そんなの悪いです」

それよりも周りの目が気になる

「そんなの気にすんなって」

頭を捕まれて、強制的に膝枕してもらってる

「どう?寝やすいでしょ?」

バスケしてるからか、足が堅い
でも、力を抜いてるからか、絶妙な堅さで

あぁ、眠たくなってきた


ちょっとでも横になると寝てしまう
飛行機なのに。晴れてて、地形も見えるし、
太陽の姿がきれいなのに
せっかくの窓際なのに

なのに、わたしは個人的には関わりたくなかった
シーズンの一人に膝枕されているなんて

これからは派手な行動は慎もう。

それにしても、彼の膝枕は絶妙すぎる。