「じゃあねー」

「ばいばーい」

「またあしたー」

18時を少しすぎた頃
やっと解散した。

「遥花ちゃん、なんか怒ってる?」

「怒ってないよ」

帰り道が一緒
というより、
家が隣だから、一緒に帰ってる冬紀
小学生の時、こいつが隣に引っ越してきて、
お母さん同士が同級生って事もあって
幼なじみって関係になった。

「うちのお母さん迷惑かけてない?」

冬紀がそういいだした
私の両親は、お父さんの単身赴任にお母さんが
ついていってしまい、私一人実家に残された。
まぁ、私が残ると言ったからなんだが
お母さんも心配して、隣の冬紀の家に
たまに見に行ってやってくれないかと
頼んでいるらしい。

「ううん、お世話になってるよ」

「そっかぁ」

私も冬紀も口数が少ないため
すぐに会話が止まってしまう。

しかも歩きながらだと、話しにくい

「久しぶりだね

こうやって二人で帰るのも
二人でこんなに話すのも」

冬紀が突然言い出した。
そういえば高校に入ってから
冬紀とはめったに口も聞かなかったし
一緒に帰るなんて、一度もなかった。

中学校のころは毎日一緒に帰って
よく喧嘩もしたけど、いつも一緒にいた。

「そういえばそうだね」

そう答えると、冬紀は
遥花ちゃんは高校に入って変わったよね
と下を向きながらそう言った

明るい性格じゃなかった。
でも、暗い子でもなかった。
友達も、成績も、運動も、見た目も
何をとっても平均だった。
ただ一つ変わっていたのは
物語が大好きだって事。
三日で一冊程度で三年間、読み続けた。
あげく、ライトノベルや、
少女マンガまで手がでたが。

ただ、高校生になった今は
学校で起きてることが
客観的にしか見えない。
物語を読んでいるように、人事にしか思わない。
そのせいか、感情が乏しくなって
しまったみたいだ

物語を読みすぎたせいかな?