うーん、さすが安いだけあるなぁ
ビキニばっかりだし、デザインも微妙だ

「これでいいか」

なんのフリルもデザインもない
真っ黒のビキニ。留め具もなく
全部ひもでくくるだけ。

「だめだよ!そ、そんなビキニだなんて!」

冬紀があわあわしてる。
何してんだ。私の行方を妨げるな

後ろでわーわー言ってる冬紀を
無視しながらレジへと向かう


「ありがとうございましたー」

陽気な店員さんに見送られながら
まだ迷ってる主人公の元へ向かう

「それほんとに着るの?」

後ろの冬紀がうるさい。

「・・・目立つよ?」

その一言に足が止まる
目立つ?目立たないよ、
みんなきっとこんな水着だよ
相手しても仕方ない、
また無視して進み出す


「あれ?
遥花ちゃんもう買っちゃったの?」

「うん、いいのがあったんだ」

「どんなのか見たかったなぁ」

私も早く決めなくちゃ!
と意気込んで選び始めた可奈子ちゃん

「遥花ちゃんはもう決めたんだ?
どんなのにしたの?」

生徒会室での事があってから
夏成がはじめて話しかけてきた
変ににやにやしながら

「ビキニです」

笑顔も何もなく単調に答えれば

「それは楽しみだね」

といいながら、私の肩に手を回した。
もうこいつに
気を使う必要なんてないね
そう思ったから
肩に乗ってる手を叩いた

「素直じゃないねぇ」

その顔ですらにやにやしてて
ムカついたから、
その場からすたすたと歩きだして
近くの吹き抜けの柵に寄りかかった