「透真─────っ!!」






叫びながら飛び起きた。

目をこじ開けて、見えたのは、




「…アレ?」




煉瓦の壁でも星空でもなく、整列している机と椅子。白い壁、白い天井。グレーの窓枠、薄黄色のカーテン。
外に青空、桜。


隣には



「ん゛ー…」


「えっ、とうま!?」


「声でか…」



目をこすりながら体を起こす透真。
ああ、相変わらず寝起き悪いんだね…ってそうじゃなく!!


…うわっ、ここいつもの空き教室だ!


廊下側の壁に背中をくっつけて、透真と隣同士で座ってぼーっと話すのが日課だった。教室棟と反対側だから誰も来なくて、ここはふたりの場所だった。



あれ?
じゃあもしかしなくても、さっきのって…



「夢、…かぁ」



ふたりでウトウトしてるうちに寝ちゃったんだ。
ほっと呟いた隣で、しきりに目をこすりながら透真が口を開く。



「…すっげえメルヘンな夢見た…」