…いやいやいや!!!

おかしい!これはおかしいよ奥さん!!
何コレ!!!



これじゃあまるで、昔寝る前に読み聞かせてもらったラプンツェ───……



「…そんなはずは! ありえないよ奥さん! でもでもでも! なんで!?」



そんな見慣れない光景に取り乱して、誰かも知らない奥さんに叫んだとき。




────ストン、と。




心の中で、何かが落ちた音がした。

同時にわたしは“なるほど納得!”な表情で、ぽんっと掌を打って口走る。




「あぁ…、わたし、ラプンツェルなんだ!」




頭を電撃が駆け抜けたように。

分かってしまえばあとは楽で。
心が受け入れてしまった事実をもとに、記憶を探る。

…あ、ここは塔の上なんだね。



まるで、今まで寝起きで頭が回ってませんでしたとでも言うように、ストンと現状を受け入れられた。


……不思議な不思議な、感覚だった。




───そうそう!

わたしラプンツェルだったんだ!