半ば落っこちそうになりながらも慣れた手つきで地面に着地した純ちゃんが、ニコニコ手を振ってから歩き出す。


…あ、移動も徒歩なんだ。
ほうきじゃないんだ。


本当に高いこの塔からは、小道を歩く純ちゃん
すごく小さく見える。
周りが緑ばっかりの中、真っ黒なマントを着てるから、目立つと言えばすごく目立つけど。



純ちゃんの背中を目で追って見送りながら、ふと窓枠のことに気付いた。

しっかりした窓枠。


人ひとり余裕で座れる大きさだから、本当はこうやって身を乗り出すのもやっとなくらい。



「………よしっ」



だからひょいっとその窓枠にのぼってみた。




「おわっ! たかーい!」




さっきは油断してたからあまりの高さにびっくりしちゃっただけで、わたしは高いところヘーキな子なのだ。


もちろん落ちたらひとたまりもないんだろうけど、不思議とそんな恐怖心はなかった。


真下までよく見える。



気まぐれな猫が歩いているのも、蝶たちが追いかけっこしてるのも。

さっきより視界が広がった。



これなら部屋に何にもなくても楽しめる!



なんて喜んでわたしは飽きることなくそこからの眺めを楽しんでいた。




…それにしてもヒマすぎて、途中で寝ちゃったのは秘密です。