心さん、そろそろ俺にしませんか?




「おぉ、勝ったか」


「まぁ俺は引き分けになっちまったんだけどな~?」


「お前は活躍しなかったわけか」


「そんなこと言うなよ~。それより、お前はどうだったんだよ?」


当然、俺の結果を聞いてくるとは思っていた。俺は普段通りで答えた。


「あー、負けた」


「ひゃっはっは!お前負けたか?やっぱりな~!」


周りにいた1年は唖然としてイチを見ていた。それもそのはず。イチが口を大きく開けて笑っているんだから。


「……なんだよ。その分かってた感」


「だ~ってお前、あの自己流で勝てるわけねぇじゃん」


グサッ。イチの言葉が胸に刺さる。


「緊張して自己流になるお前は何度も見てきたからな。それとな~く察しはつくわけ」


「おーそうかよ」


「監督からたぁっぷり説教食らうんだな♪さて、俺は明日への心の切り替えをせねば!」


コイツ、遠回しに勝ったこと自慢しやがって。