パシッ、パシッパシッ!
「……っ!」
んだよ。どこ狙えばいいんだよ。どこを狙っても、読まれているかのように鋭くガードされるじゃねぇかよ。
中学の時から剣道をしているけど、何かが違う。これが、勝つことの厳しさなのか?
「原田ぁ!」
パシィッ!!
一瞬だった。誰かに自分の名前を呼ばれて気づいたら、相手に一本取られていた。
「一本!」
審判から相手に旗があがる。俺は息があがる自分の呼吸音しか耳に入っていなかった。
クソッ、先制点取られた。
「俺が勝つよ」
相手はきっと、俺とタメ。それでも技術の差がありすぎることを思い知らされた。
「……負けるかよ」
歯を食いしばる。
まだ一本取られただけだ。勝敗は決まってねぇ。
審判の合図とともに、再び試合が動き出した。


