心さん、そろそろ俺にしませんか?




キャプテン、遊べるわけないじゃないっすか。試合に出る以上、それなりに責任ってのがありますよ。


「遊園地でさ、乗りたいのに乗れなかったら後悔するだろ?それと同じ!遊びたいのに遊ばなきゃ後悔するぞ!」


きっと、深く考えればわかるはず。キャプテンの言う遊びたいは、きっと……勝つことを意味している。


─────勝ちたいなら勝たなきゃ後悔する。


わかっていること、思っていること。だから、余計に身に染みる言葉。俺はキャプテンに小さく会釈をしてその場を後にした。


さっき、客席から分析した相手が目の前に立っている。俺の心臓が暴れ出す。それでも、竹刀を握りしめて歩き出した。


大丈夫。大丈夫だから落ち着け……心臓。


「用意」


静かに瞳を閉じて、精神統一。


「はじめ!」


右足を前に出して攻めに入った。これが俺。今回限り許された俺流。