「よし。選手の奴等、行くぞ!」
キャプテンを先頭に立ち上がった俺達。隣にいたイチも立ち上がる。俺は個人戦だけど、コイツは団体戦なんだ。
「お前はすげぇな」
「何が?」
「個人戦だよ。自分が負けたら負け。団体戦みたいに後がねぇじゃん。その中で戦えんのすげぇよ」
すごくなんかない。だって、カッコ悪いくらい俺の心は震えているんだから。
「プレッシャーかけんなよ」
「応援してんだよ!バ~カ」
自分だって今から戦うくせに、人の応援してんじゃねぇよ。
「お前、負けんなよ」
「優生こそ、ビビって試合放棄すんなよ!」
誰がするかよ、そう言って拳をぶつけ合った。俺達の表情はどちらも強ばったまま。そして、拳は震えていた。
それでも、キャプテンという強い味方が緊張を解してくれた。
「お前等はまだ1年だ。何もかも許されんのは今だけだ。それならする事はただ1つ」
ゴクッと息を飲む俺達。
「遊べ。以上!」


