心さん、そろそろ俺にしませんか?




ノロノロと歩く俺の背中を、イチがずいずい押していく。真ん中というポジションを頂いた。


左にイチ、右に陸、後ろに女子。ハイチーズの掛け声に合わせて何枚も写真を撮った。


「焼き増し希望~!よろしくな!」


「は~い!渡すね~」


まだ体育祭は終わっていないのに、もう疲れた気がする。大きな欠伸をして、シートに腰を下ろそうと、


「原田くん」


澤本に呼ばれた。何?と顔だけ向けると、


「アドレス交換しようよ」


そう言ってきた。は?アド?


「何のために?」


「メール!」


「俺、メールしない。それに今ケータイ持ってねぇからアド覚えてねぇし」


それに、好きでもない奴とメールなんてする気ない。