胸の痛みと蒸し暑さに耐えながら、イチの隣で競技に目を向けていた。そして、気が付くと自分の種目が迫っていた。
「玉入れ行ってくる」
「俺は見とくからな～」
さっきのこと、まだ根に持ってんだろうか。軽くイチが睨んだ。
「遅いよ、原田くん！」
同じクラスの……名前何だっけ。あ、澤本(ｻﾜﾓﾄ)が俺の元へ走ってきた。
「澤本も玉入れ？」
「そうだよ。このメンバーねって顔合わせしたじゃん！」
そうだっけ？
「原田くんって忘れっぽいんだ？」
「あーそうかも」
そうしているうちにチーム全員が揃った。澤本は張り切ってたけど、俺はそんなに乗り気じゃないんだよな。
「みんな頑張ろうね！特に原田くんはその身長活かしてね！」
「あ？無理」
「ダメだから！君がこのチームのキーパーソン！」
……それ、意味不明だから。
