心さん、そろそろ俺にしませんか?




「も~今日アイス奢れよ」


「おー」


「珍しく素直!」


「おー」


「と思いきや、話聞いてないだけじゃん」


当たり前だ。なんでお前にアイスを奢る義務があんだよ。イチの言葉を無視して行われている競技を見ていると、隅である人物に目がとまった。


それは、西川先輩と心さん。


さっき急いでたのは西川先輩に会うためだったとか?いろんな考えが脳裏を過ぎる。


すると、西川先輩が心さんの頭をクシャッとした。心さんは持っていた両手のボンボンで慌てて顔を隠す。


その仕草……すげぇ可愛い。


『か、髪を崩すな!』


競技に向かう西川先輩に、そう反発している心さん。俺だったら絶対に今の心さんに背を向けられないのに。


「優生、顔怖いぞ」


「……あ、悪い」


ズキン


また胸が痛んだ。