心さん、そろそろ俺にしませんか?




「サンキュー!そう言われると、この部活に誇りが持てる!」


じゃあな!と片手をあげて去っていく心さん。その後ろ姿が見えなくなった途端、口元を押さえて座り込んでしまった俺。


「バカ……俺……」


可愛いって言葉が心さんに聞こえていなくてよかった。聞こえていたら、どんな反応をしてけれていただろう?


照れてくれた?やっぱり困った?知りたかったけど、知りたくない反応。


『1着、赤組森原!』


放送を聞いて、イチが1着でゴールに着いたことを知った。やべ、見逃した。


でも、それどころじゃなかったし……あぁ、もう。俺はムシャクシャする気持ちのままテントへ戻った。


「何ぃ!見逃した!?」


「悪い。でも放送は聞いた」


「それ結果聞いただけじゃんかよ~」


当然、イチは拗ねた。だけど、俺は今そんなイチに構っている余裕がなかった。