心さん、そろそろ俺にしませんか?




─────☆次の日。



「あーっちいっ!」



朝。俺の家のキッチンから、イチの叫び声が聞こえていた。



「もー森原くん、しっかり持って丸めて!」



少し強い口調で言い、イチの手を優しく包み込む彼女の澤本。そして思いきりデレるイチの野郎。



「……ねぇ、イチのその顔やめてくんね?」



その光景を見て、フライパンを一洗いした俺はイチを睨んだ。イチのやつ、それでもヘラヘラしておにぎりを握り始めた。



今日は心さん達が勉強をするってことで、差し入れをする。心さんの分の弁当は俺が作って、他の先輩達にも少しは……ってことで、おかずは俺、おにぎりをイチが担当、そして澤本も助っ人として来てくれたのだ。



テストも近いから勉強しないとだし、さらにデートもしたいってイチが言い出して、澤本も誘って、差し入れた後は図書館で勉強することになったんだ。



「ちょ、森原くん!それ砂糖だからっ」



「勉強するには糖分が必要だから、これくらいいいって~」



ただ1つ、イチのおにぎりは嫌な予感しかしなかった。