心さん、そろそろ俺にしませんか?




「…………そうっすよ」


そう言って、力なく椅子に座る俺。


【お待たせいたしました~!続きまして……】


アナウンスが体育館内に響く。俺は心さんの気配を感じながら、照明係の仕事に集中した。


この次の組が西川先輩達。観客も増えてきているから、先輩達目当ての人が多いんだろう。きっと心さんもその中の1人。


あー早く先輩帰って来ねぇかな。心さんが来てくれたから、ゆっくり話したかったのに。まだここにいてくださいって、言いたかったな。


カチッ


ステージが終わりライトを消す。次は西川先輩達か。なんて思いながら、不意に心さんがいた場所を見た。


「次だな、西川達」


……え?


「アイツらどんな格好すんだろーな。教えてくんなくってさ」


心さんはまだいてくれていた。嬉しくて、言葉が出てこない。


「原田?」


「あ、はい。西川先輩達っすよね?リハ凄かったって聞きました」


「そうなんだよ。キメてやる!とかドヤ顔で言ってたから、見なきゃなーってな!」


本当にその理由だけなんだろうか。本当は、他の理由で……好きな人だから見に来たんじゃないんすか?