誰かの声が聞こえた。カーテンが閉まっているから、暗くて声の主は見えない。だけど、この声……聞いたことがある。
「原田?」
心さん、だ。
「え、なんで心さんが……」
「ちょっとな」
薄暗いけど、制服に着替えた心さんが俺の前に立っていた。
「ここに来る前に森原に会って、コレを原田に届けて欲しいって預かった」
そう言った心さんから手渡されたのは、焼きそばだった。アイツ……ナイス!!
「お前飯食ってないんだって?」
「ははっ、まぁ。でも、持ってきてくれてありがとうございます。あとで食べます」
心さんから焼きそばを受け取る。すると、心さんからペットボトルも渡された。
「コレ飲める?あたしの好みで選んだんだけど」
「の、飲めます!ありがとうございます」
受け取ったペットボトルも、焼きそばの傍に置いた。うわー、何この嬉しいサプライズ。昨日の模擬店を頑張ったご褒美!?
なんて浮かれたのも束の間だった。
「この次だっけ?その、西川達の出番」
あぁ、そうだった。
心さんの中には、この人がいるんだった。
何浮かれてんだ、俺。バカだな。


