心さん、そろそろ俺にしませんか?




昼は個人の出し物。ライトはそんなに変えることはないけど、ずっと機材の場所にいなきゃいけない。


お昼だから、心さんのところにでも顔を出して……って、どこにいるかも分からないけど、心さんに会いに行こうかと思ってたのに。


「しゃーねーか」


ケータイを取り出してイチにメールを打つ。


──【係抜けらんねぇから焼きそば持ってきて】


ヴーヴー。返事はすぐに来た。


──【今デート中でーす♡】


……うぜぇ。イライラしつつも続きを読む。


──【あとで持っていく。それまで生きろ!】


おいイチ、親友より彼女か、おいこら。返信はせず、ケータイを閉じてそのままポケットへ眠らせた。


昼でも体育館内に観客が集まって盛り上がっている。その光景を横目に、プリントに記された指示に合わせてライトを調節する。


いくつかの組が終わり、楽器の準備が行われるため、次の出番まで5分の休憩になり、俺は一息つく。


「えーっと次は……」


文字を追う目が止まった。


この次、西川先輩達のバンドじゃん。うわ、ついに来たか、この時が。心さん、西川先輩を見に来るんだろうな。


またいつもみたいに、西川先輩のことを……





「お疲れちゃーん」