心さん、そろそろ俺にしませんか?




「先輩は好きな人いないんすか?」


「好きな人っていうか、もう彼氏いるから。ちなみに、片思いが実ったの」


うわ、リア充かよ。


「私のノロケ聞く?聞きたいよね?」


「あーほら、始まりますよ」


先輩のノロケなんて聞きたくないし。なんなら、俺の悲し過ぎる片想いを話したいくらいだっての。


そして、昼休憩まで照明係の補佐をした。お昼だから、照明係も少しは休憩があるはずだったのだが……


「え!マジすか!?」


「原田くんゴメン!彼から今文化祭に来てるって連絡来た。彼さ、県外にいてなかなか会えなくて……だから本当悪いんだけど、少しだけ係お願いしていいかな?」


先輩の言葉を聞いて、姉貴と佐原先輩のことを思い出した。2人もなかなか会えないから、会えた時は嬉しそうだったし……こういう時は仕方が無いよな。


「……少しだけ、ですよ?」


「っ!ありがとう!」


お昼、明るくなった体育館。先輩は嬉しそうに階段へと向かった。


「ってことは、俺……飯なし?」


ぎゅるるるる


応えるように、俺の腹が寂しく鳴った。