心さん、そろそろ俺にしませんか?




「あっ、すみま……」


声の主を見て俺は目を見開いた。


「こ、心さん!?」


「おー原田か!ほら、これ落としてるぞー」


「いっ、今取りに行きます!」


やった。心さんと会えた。心さんと……


「ふふっ、ヤバイよ原田。その顔のまま行くとキモいって」


そうだった。先輩がいたんだった。俺は先輩の言葉を流して心さんの元へ向かった。


「心さん、ありがとうございました!」


「おう。原田照明すんの?」


「はい。人手が足りないらしくて」


息を整えながら、冷静さを保って心さんと話す。


「お前も大変だな。」


「充実してるってことっすかね」


「だーな!あっ、今日あたし舞台出るから応援よろしくな?」


「はいっ」


もちろんです。見る気マンマンですからね。


「じゃ、今日も楽しもうな!」


そう言って、友達の元へ駆けていった心さん。あぁ、嬉しい。今日は朝から会えた。心さんの笑顔に会えた。


こりゃ、今日も頑張るしかねぇ。




─────☆


「原田くん、次のやつ渡して」


そして始まった文化祭。俺は先輩の指示に従って、照明係として働いていた。