心さん、そろそろ俺にしませんか?




「今日こそは会えますように。もうマジで話せますように……」


ブツブツ唱えながら校舎へ向かう俺。今日はもう体育館に缶詰めでいいから、心さんと話したいし……会いたい。


心さんから俺の元へ来てくれる確率は低いから、俺からアタックしていかないと、この恋は何も変化がないままになっちゃう。


振り向いて欲しいから。心さんに俺のことを見て欲しいから。


「よし、今日も頑張るぞ」




─────☆


「てことで原田くん、照明よろしくね!午前は私がライト担当するから、補佐役よろしく!」


体育館の2階。照明係で同じ配置になったのは、体育祭の時に用具係で一緒だった女の先輩だった。俺はうろ覚えだったけど、相手は覚えてたみたいだ。


「あれでしょ?原田くん、心のこと好きなんだよね?」


パサッ


先輩からサラッと言われて、持っていたプリントを落としてしまった。


「結構有名だしねー。案外健気じゃん」


先輩の言葉を聞きながら、慌てて散らばったプリントを集める。先輩はクスクス笑いながら、プログラムに目を通す。


「ちょっとー、プリント落ちてきたよ?」


すると、下にいた生徒から声をかけられた。