心さん、そろそろ俺にしませんか?




「もう終わったのか?チア部の出番」


「残念なことに、もうと~っくの昔にね」


持っていたトレーを落としそうになる。あぁ、5分でも見れたらって、少しだけ待してたのにな。


「明日、書道部の出番ならあるよ~」


「それは澤本目当てのお前に……」


「チア部も一緒に出るんだってよ」


え?


「音楽に合わせて書道するから、その時に盛り上げ役的な感じでチア部も出るんだって!よかったな~優生っ」


イチの言葉に口元が緩む。


「ちょっと原田くん!森原くんも喋ってないで仕事して~!」


そこへ委員長からお叱りの言葉が飛んできた。俺達は慌てて持ち場へ。それでも、俺の頭ん中はさっきの話のことでいっぱいだ。


照明係をさせられたおかげで、心さんの出番を見れる。


これだけのことなのに、嬉しい。今すっげーデレてそうだなぁ、俺の顔。




「はーい、お疲れ様!」


そんなこんなで文化祭初日を終えた。少しだけ他のクラスの出し物も見れたし、充実してたよ。


心さんとはもう会えなかったけどな。