心さんに引っ張られていた手。嬉しいけど、俺の心臓がもたないから、悲しい自己申告。心さんはすぐさま俺から手を離した。
心さんと俺の間は30cm弱。やばい、これ……DVDに集中出来るわけねーだろ。
「ほー!ここからアイツが出てきて、こうガツン!って殴るんだ。あっ、ほら!」
だけど、俺の右隣に座る心さんは、ガッツリDVD鑑賞中。なんか……もっと意識して欲しい気持ちもあるんですけど。
「心の解説があると分かりやすいね~」
「解説っつーか、ただのネタばらしだろ」
「サハヒドくね!?満結さんがせっかく褒めてくれたのにー」
俺以外の会話が目の前を飛び交う。そろそろDVD観ましょうよ、皆さん。それからも話は続き、真面目にDVDを観たのは、中盤を過ぎた頃だった。
「あ~面白かった~!あのハッピーエンドはいいね」
「バイクでかっさらって、愛の告白!最高でしたね!」
映画が終わった直後、姉貴と心さんが手を取り合って話しをするが、俺と佐原先輩はというと……。
「……コイツらうるさすぎ」
「俺も、同感です」
ハイペースについていけず疲れきっていた。


