「俺が姉貴の弟って知ってたんすか?」
「あぁ。弟が剣道部入るって聞いてたし、原田って名前だし知った」
「言ってくれても」
「お前の反応が楽しみでさ。それにしてもお前、吉野の前だとデレっぷり半端ねーな」
「いっ、イキナリ何すか!」
ダメだ。俺ってほんと、心さんの話題になると過敏に反応して弱いな。
「吉野、ガサツ女だぞ。見る目ねーな」
「心さんの良さは、佐原先輩は分からなくて結構です」
佐原先輩と話しているおかげで、画面に映る映画の内容が全く分からない。
「おっ、この映画良かったよなー!」
すると、話の内容の人物である心さんが、俺と佐原先輩のソファーの間から顔を出した。ドッキンバックン俺の心臓フル稼働。
「サハありがとうね。この映画観たかったんだ~。心、あたし達も観ようよ」
姉貴の言葉を聞いた心さんは、俺の腕を引っ張って、近くの2人がけのソファーへ。
「サハの隣は満結さんだろ?ここは気を利かせるべきだっ」
コソっと俺の耳元で言う心さんだけと、吐息が耳にかかってくすぐったい。
「わ、わかったので手を……」
「あっ、すまん!」


