「まー、西川のことは友達として大事だし、満結のことでずっとゴタゴタしたくねーんだよな」
そう呟く佐原先輩。普通に西川先輩と普通に話してるけど、やっぱりどこかで姉貴のことで距離を置いてるんだろうな。
少し前までの俺とイチに似てるかも。少し似た三角関係に。
「アイツ、2週間後に帰るんだろ?」
「そうみたいっす。……寂しいっすか?」
佐原先輩に睨まれたのは言うまでもない。何とか和解?し、それからは佐原先輩が持ってきていたDVDを一緒に鑑賞。
「あ。クッキー持ってきたぞ。お前、クッキー好きなんだろ?」
あと、佐原先輩から差し入れ付き。手作り……ではないが、美味しそうな香りが漂うクッキーを……って、ん?
「俺、そんなこと言いました?」
覚えのない言葉に首を傾げる。
「言っただろ、夏の試合の後のバスで」
試合の後……?そんなこと言ったっけな?
─────『ケーキとクッキー、どっちが好きか?』
あぁ、そんなこともあったような。深く考えてなかったけど、こういうことだったのか。ウチに来る時に手土産用として……ん、あれ?


