「す、すいません……」
ちょー不機嫌な顔をした佐原先輩に、目を泳がせながら謝る。佐原先輩にまで迷惑をかけるとは、あの姉貴め。
「……ま、会えたからいいけど」
すると、伏し目でそう言った佐原先輩。言葉の意味が姉貴に対してってことは分かってるけど、佐原先輩の少し緩んだ頬を見てドキッとした。
姉貴のこと、本当に好きなんだなって伝わってきた。
「あのー、姉貴のどこに惚れたんすか?」
「は?イキナリなんだよ」
「いや、弟として大変気になりまして……」
告白したのは佐原先輩からだって姉貴が言ってたし、それに剣道部でなくバレー部だった姉貴と……年上の姉貴とどう接点があったのかも知りたいし。
「んなの教えるか、バーカ」
表情を変えずに言った佐原先輩。
「アイツにだって言ってねーのに、原田に言えるかよ」
ですよねー。でもあの、佐原先輩。お顔が赤くなってきてますよ。
「ただ、アイツを他の奴に取られたくなかった。そう思ったら行動してた」
”他の奴“
それはきっと、西川先輩のことなんだろうな。


