切ない表情のイチに何も声をかけられず、俺はケータイを見つめたままだった。
でも、何か引っ掛かる。俺に用事なら俺だけ呼べばいいし、頼むならイチに連絡をするはず。そしてふと顔を上げると、偶然澤本と目が合った。
お願いのポーズをして、澤本の存在に気づいていないイチを小さく2回指差す。このメールのことか。俺は1度頷いた。
─────やっぱり澤本は、イチのことが好きだな。
俺への好意じゃない。お前への好意だぞ、バカイチ。
まぁ、今のイチには言わないでおこう。体育祭が終われば、きっとイチの笑顔は見れるから。
「あ~もう最後の選抜リレーじゃん。体育祭早いな~」
午後の部もあっという間に過ぎ、最後の種目となっていた。俺もイチも選手に選ばれ、編成所へ向かった。
「ぜってー澤本にカッコイイ姿見せてやる!」
そう意気込んで、チームの元へ向かったイチ。俺も心さんに見せられるように……
「はい、白組集合!」
すると、白組の団長と心さんが白組を収集し始めた。何やら、円陣を組んで意気込むとか。ありがたいことに心さんの隣をゲット。


