「……連絡先を教えてとは言ったけど、まさか家の番号を教えられるなんて」
絶対、ズレてるだろ。普通はケー番とかケータイの事って思うはずなんだけど。でも、それが心さんらしくて……好きなんだ。
「よし!」
家の番号だろうが家族の人が出ようが気にしない。……いや、気にするけど、でも心さんに連絡するって言ったし……やっぱり、声が聞きたいし。
白い紙に書かれた数字を1つずつ丁寧に押していく。全部押し終えると、素早くケータイを耳に当てた。
「プルルルル……」
手が震える。歯もガチガチ言ってっし、緊張やべぇ。それに、もう買い物から帰ってきてるよな?まだ西川先輩と一緒とかだったら、かなりヘコむんだけど。
『はい、吉野です』
出た。この声は、心さんだ。よかった、お母さんやお父さんじゃなくて。
「あ……原田です」
『おー原田!お疲れ!』
「お疲れ様です。今、大丈夫でしたか?」
『おう。ちょうど飯を食い終わったところだったんだよ。ナイスタイミングだな!』
それはそれは光栄です。
「あ、あの……心さん」
そして俺は、連絡先のことについて心さんに話した。


