心さん、そろそろ俺にしませんか?




白橋は気さくな奴で話しやすく、部員からも結構信頼のある奴だから、キャプテンでもよかったと思う。


イチは、1年の世話役という名が当てはまるな。誰よりも1年に近い存在だと思うし。まぁ、普段の悪ふざけさえなければな。


「よし!休憩にするぞ!一旦気持ちオフにして練習に励もう!まだキャプテンは俺だからな?原田に託すまでとことんみんなをいじめるぞ!」


キャプテンの冗談にも慣れた1年生。俺達と同じように休憩に入った。さすがに、こんなキャプテンは俺には出来ないかも。


「おい」


すると声をかけられた。声の主は、佐原先輩だった。


「キャプテンする気になったか」


「先輩がチャンスをくれたからです。ありがとうござい……」


「勘違いすんな。2年の中で誰かがキャプテンになるんだ。それを最終的に決めたのはお前だ」


佐原先輩は視線を逸らしてそう言った。この人って、結構不器用だよな。もう少し違う言い方だったら上手く伝わるのにな。


「いいのか?」


「何がですか?」


「吉野にキャプテンの件、言うんじゃねーのかよ。休憩終わるぞ」


な、なぜ佐原先輩がそれを?