心さん、そろそろ俺にしませんか?




「向いてないと思うよ、キャプテン」


俺からするとな、そう言いながら机に向き直して、担当の教科の本をパラパラっとめくる山田。


そんなことを直接本人に言う担任ってどうよ。そんなこと、わかってる……わかってるけど。


「それ、分かってますから」


本鈴が鳴り、失礼しますと残して職員室を後にして教室へ戻った。教科担の先生はまだ来ていない。


「お~遅刻ヤロ~!」


イチが俺に飛びついてきた。パッと払って自分の席へ向かう。


「それで何の罰が?」


「あ?罰?」


説教されてキャプテンの話になって……他に何言われたっけ?反省文とかあったか?


「何も無いわけ?」


「おう、キャプテンの話しか」


「お!決めたのか?どうなんだ!?」


イチが目をキラキラさせて俺を見る。


「決めたけど、まだ秘密」


ちょうど先生が入ってきたので、イチは渋々自分の席へ戻った。


そう、俺は決めた。


─────☆


「……そうか」


監督が呟いた。放課後、俺は監督室にいた。監督と2人きりで向き合っている状態だ。