心さん、そろそろ俺にしませんか?




必死にチャリをこいでこいで学校へ到着。もちろん、周りに生徒は誰1人いない。靴を靴箱へ投げ、スリッパも履かずに猛ダッシュで教室へ。


ガラッ


「セーフ!?」


大きな声を張り上げて、教室のドアを開けた。一気にクラスメートの視線が俺に注がれる。


「原田、アウト」


そして、教卓にいた担任の山田が、微笑みを浮かべながら俺を見た。


「とりあえず、スリッパを履いて職員室へ。みんな、連絡事項は以上だ!」


俺はみんなからクスクス笑われる中、渋々スリッパを履き、近くにいたイチにカバンを預けて、教室を出た山田の後を追った。


「お前のその遅刻をしないために急いだ姿勢は認める。だかな、遅刻は遅刻だ。これから社会に出て、その遅刻が許されると思うか?」


「……いえ、思いません」


「だろ?この一回の遅刻で、周りからの信頼もなくなるかもしれないんだぞ?俺やクラスメート、それにこれからは部活の部員からもな」


え?驚いて山田を二度見した。


「俺が知らないとでも思うなよ?お前の担任だ。その話くらいお見通しさ!」


誰かに聞いただけだろーが。呆れながら山田を見る。