心さん、そろそろ俺にしませんか?




「へーそう」


「なになに~?前みたいにうっせーとか冷たく言わないの?」


「自分でしてることなのに、んなこと言わねぇよ」


意外~という顔をして右手で頬杖をつくイチ。何気にその態度ムカつくんだけど。


「でも、そのお前も新鮮でいいって株上がってんの知ってる?」


「は?」


なんだよ、株って。


「鈍感め。まぁ、ほんの一部らしいぜ?」


「だからって、俺は別に」


「所詮は片想いヤローなのにな!」


「おいこら、イチ」


へっへ~ん!と教室を出ていったイチ。んだよ、アイツ。帰ってきたら蹴り食らわしてやる。


追いかけるつもりはない。心さんのことは、追いかけるけど。


「ほら席つけ~!小テストするぞ」


授業の始まりのチャイムが鳴ったと同時に、現代文の教師が入ってきた。イチの奴も滑り込みで入ってきた。


─────☆


「俺が思うに~あれだ!お前はギャップだな!」


昼。イチが、箸で俺のこと指さしながら、真剣な顔つきで俺を見た。


「見た目とは違う、健気な恋をするなんて……って女子の心を射止めたんだな!」


どうやら俺の株の話らしい。