「……なぁ、あれって2年生だよな?」
「う、うん。でもなんで筋トレしてんだろ?他の人達練習してんのにな」
「何かやらかしたんだよな、きっと」
ボソボソと話す一年共の声が耳に入る。うるせぇよ、俺達だって好きでやってんじゃねぇよ。
「これで、好感度……下がったなぁ~俺達」
「……別に、そんなの、求めてねぇし」
腕立てをしながら、隣にいるイチへ言葉を返す。汗が滴って体育服が体にベタつく。クソッ、暑ぃ。
「おぅら、原田!やる気が落ちてっぞ~!」
少し気を抜いていた俺を見逃さなかったキャプテンが、俺の目の前に立った。新入生がいるからって偉そうっすね。
「少し、休憩しても……」
「まだ許さんぞ!ほら、残り50したら水道へGO!」
……サワさん、どうしてこんな人と付き合うことオッケーしたんだろう。
それから腕立てを終えた俺達は、すぐさま水道へダッシュして頭から水を浴びた。やっべぇ、気持ちい……
「まだ体力有り余ってんじゃねーか」
水の冷たさに感謝していると、現れた佐原先輩。途端に、吹雪のような寒さが全身を被う。


