「優生!部室まで競争だ!」
「は?イチ何言って……」
「よ~いドン!」
早っ。心の中でツッコミを入れている間に、イチの背中は小さくなっていく。重たい鞄を持ち直して俺は追いかけた。
必死に走って、イチにも追いついてきて頃、聞こえてしまった。
「西川ー!」
俺の足はピタリと止まる。声の方へ振り向くと、心さんが西川先輩に笑っている姿が見えた。
心さんは西川先輩にフラれてから、少しだけ距離があった。だけど、春休みが明ける頃に2人が一緒にいるところを見た。
きっと、また友達がいいな!とか言ったんだろうな。それに頷く西川先輩もどうかと思うけど。
前までの俺なら、きっとこの場所から2人の姿を見つめているだけだったに違いない。だけど、もうそんな俺はいない。
「心さんっ」
1日の中で初めて出した俺の大きな声に、心さんはハッとして俺を見た。
「部活行ってきます!心さんも頑張ってください!」
心さんに告白してから、素直に話しかけてみようと思ったんだ。
「が、頑張れよ!あたしも頑張る!」
ほら、少しどぎまぎしながらも返答してくれるから。


