心さん、そろそろ俺にしませんか?




「君の勇敢な姿を僕は応援し続けるよ~!」


教室に入るなり、イチがお出迎えをしてくれた。


「……どこまで聞いた?」


「簡単に言うとオール!」


だと思った。俺は力なく席について、重いため息をこぼした。


「でも、俺はお前のそういうところ好きだよ」


頭上から降ってきた、イチからの愛の言葉。


「俺、心さん一筋なんで」


「俺も、アイツ一筋なんで」


澤本の名前を出さないイチと目を合わせて、どちらともなく笑みをこぼした。


「どっちが早いかな~」


「何が?」


「好きな相手を振り向かせるの」


そんなの分かるわけねぇだろ。それに、


「勝負することじゃねぇよ」


イチと勝負をする気はねぇけど、いつ心さんを振り向かせることが出来るんだろう。


先は見えねぇし、まず、振り向いてくれるのかも分からない。


それでも、アタックして心さんの気持ちを揺らがせたい。そしてそのまま、俺の元へ来てほしい。


窓から見える卒業生を見送った早咲きの桜は、世代交代というように落ちていく。


もうすぐ4月。それは心さんと過ごす、最後の年のはじまりだ。