心さん、そろそろ俺にしませんか?




心さんが言い、そうだなとカバンを持つ西川先輩。帰るんだ、2人で。


「じゃ、また学校でな!」


「気をつけて帰るんだぞー」


2人は手を振りながらバッティングセンターを出て行った。


「おい、優生!」


「な、なんだよ。そんなに焦って」


「追いかけろよ、アホ!西川先輩と帰っちまったじゃねぇかよっ」


「だって、邪魔するわけにもいかねぇし」


「何言ってんだよっ」


そう言ったイチに、ガシッと両肩を掴まれた。


「俺は、焦ったよ。澤本にお前がマフィンが好きかって聞かれた時」


「イチ……」


「澤本はマジでお前に告白するって。だから、俺は告白したんだ」


──あたし、西川に気持ち伝える!


──もう、友達は嫌だからさ!


俺だって、嫌だ。


心さんが他の奴を見ているのも、西川先輩に告白するのも。


「イチ、俺行ってくる」


「お礼はこれでいいよ~」


そう言って、さっき西川先輩がくれたスポーツドリンクを指差した。


「んなのお前にくれてやる」


そう言い残して、バッティングセンターを出た。