そして、小さく頷いたイチが口を開いた。
「澤本。お前が好きだって」
春の匂いが鼻をかすめる。持っていたコーラの水滴が服に染みている。そんな中で、俺の意識はイチへ集中していた。
「お、俺を?」
「おう。まぁ、気づいてたけどな」
「気づいてたも何もちょっと待て。イチは澤本のことが好きだったのかよ?」
「そうだよ。だから、他の奴からもらったチョコを返して、澤本のだけもらったんじゃん」
そういえば、コイツたくさんもらっていたはずなのに、1個しかもらってないって言ってた。
「バレンタインの前の日、お前が心さんのことでショックで帰っただろ?その後に澤本と会って、マフィンの話した後に告って振られたんだわ」
待て待て。話が進みすぎて状況についていけてない、俺。
「お前、相談しなかったじゃねぇかよ」
「出来るかよ。澤本が優生のこと好きなんだけど、告白してもいいかな?なんて。バカじゃね~の?」
「それは………」
「ごめん。お前は悪くないんだけど、ついイライラして……」
イチが視線を落とす。俺は何も言えずに、イチの姿を見つめるだけ。


