心さん、そろそろ俺にしませんか?




「なぁ、原田」


だけど、俺が言葉を発するよりも、心さんが口を開いた。


「男は、女友達を恋愛対象として見るか?」


「えっ……」


「ずっとアタックしても……無理か?」


初めて見た、心さんのおだんご姿。そして、初めて見た、心さんの困った表情。


「俺は、西川先輩じゃないので分かりません」


「ふっ、そうだよな」


寂しそうに笑う心さん。


「あの、すみません。今の見てました」


「んなの謝んな。あたしが勝手に見せちまったもんだ」


そう言って、おだんごにしていた髪ゴムを外した心さん。ほんのり香るシャンプーの匂いが俺の心を高鳴らせる。


「ダメだな、こんなことしても。やっぱり、こっちの方があたしらしいか!」


そうやって、無理して笑わないでください。


「原田?」


俺は、心さんの頭に右手を乗せていた。心さんは驚いた顔を隠せない様子。


「まだ、わからないっすよ。西川先輩、チョコ受け取ってくれたじゃないっすか」


こんなことが言いたいんじゃない。心さんと西川先輩をくっつけたいわけじゃない。


それでも、笑ってほしかった、心さんに。