「いつもみたいに毒は入ってねぇよな?」
「アホ!入ってねぇし。いつもも毒は入れてねぇっつーの!」
「んな怒んなって。ありがとうな!」
そう言って、袋を受け取る西川先輩。なんで、そんな笑顔を心さんに向けんだよ。じわじわと右手の拳に力が入る。
「…………西川」
「ん、何?」
「やっぱり、今のナシ!」
「え?何が?」
西川先輩がキョトンとして心さんを見る。俺も心さんの言葉の意味がわからず、握りしめていた拳の力が抜けていく。
「それ、友チョコじゃないから!」
───え。
「い、意味分かるだろ!」
「分かるも何も」
「じ、じゃあな!」
そして真っ赤な顔をした心さんは、ピューッと西川先輩の前から走り去った。俺は、気がつけば心さんを追いかけていた。
「こっ、心さんっ」
思っていたよりも足が速い心さん。でも、名前を呼ぶと、すぐに振り向いて俺に気づいた。ほんのり頬の赤さを少し残して。
「あ、あの……」
呼び止めたはいいが、何を言えばいいんだよ、俺。


