心さん、そろそろ俺にしませんか?




「俺、3個!」


「勝った~!4個だぜ!」


昼休み。陸達も混ぜて飯を食うことにしたが、チョコをいくつもらったかで盛り上がっていた。


「イチ、お前たくさんもらったんじゃね~?」


良平が教えろよ~とイチの横腹をつく。


「聞いて驚くなよ?イチなだけに1個だ!」


「たった1個!?嘘だろ~?」


俺も良平の反応と同じ。だってお前、俺が知ってる限りで5はもらっただろ?


「それより知ってるか?5組のさ~」


そして、いつものごとく話題が切り替わった。俺はその隙に、隣にいるイチへ話しかけた。


「お前どういうことだよ。数字も数えられなくなったのかよ」


「バ~カ。俺ちゃんとたし算出来るぞ」


「じゃあどういう……」


「あ!にっ、西川!」


その時だった。イチに問いつめようとした時に、どこからか心さんの声が聞こえてきた。


聞こえたのは窓の外から。それに、西川って呼んだってことは……。


「……悪い、ちょっと俺行ってくる」


イチに聞いていたことを忘れ、みんなの返事も聞かずに教室を飛び出した。