「その歌やめろ」
「傷ついたか?そうだ!お前、昨日俺からのメール見たか?」
「……あ?見てねぇし」
「見ろよ、あほ!」
ケータイを出すように指示されて、仕方なく昨日受信されていたメールを開く。
──【マフィン好きか?】
「……口で聞けよ」
「だって、お前昨日帰ったじゃんかよ」
「は、腹減って……って、マフィンって?」
「あ、心さん発見!」
イチの言葉に反応して、ハッと振り返った。
「…………え?」
でも、今日はいつも以上に、心さんを凝視してしまった。
「心~可愛いよ~!」
先輩達に囲まれる心さん。いつもはおろしているセミロングの髪を、アップにしておだんごにしている。
「これ、ゆみがしたんだっ。あ、あたしは何もしてないっ」
照れながら可愛いという言葉に、恥ずかしさを隠せずにいる心さん。やばい、超可愛いんすけど。
「お~、心さんが可愛すぎて照れてる?」
右手で口元を押さえているのをイチに見られた。さらに、図星で何も言えず、心さんをまだ見ていたい気持ちを抑えて、俺は教室へ猛ダッシュした。


