「原田、かー」
ドキドキして、イチの顔も見れずにギュッと目をつぶる。
「原田は、良き後輩だな!あんなに仲良くなれる後輩はそういねぇ!」
良き、後輩。
「お、おい!優生っ」
イチに帰ると伝えて、ふらふらして家路へ向かっていた。そして、いつの間にか風呂に入って自分の部屋にいた俺。
「おい、優生。飯食うぞ」
部屋をノックした親父。今日は母ちゃんは夜勤か。俺はのろのろとリビングへ向かった。
「明日はバレンタインだな」
「ぶっ……んだよ、急に」
親父の口から、バレンタインの単語。俺は飯をこぼしかけた。
「いや、母さんからもらえるかなって不安になってな」
それ心配すること?親父……いくつだよ。
「お前はまだ楽しみがあるな」
「んなことねぇ」
だって、好きな人からもらえないし。
「恋患いなら、いつでも聞いてやるぞ?」
「ごちそうさまでした」
─────☆
「今日は何の日、バレンタイン♪遠~回しに振られた優~生♪君には未来があ~る!」
次の日の朝、隣にいるイチのイラつく歌を聞きながら、校舎に向かっていた俺。


