先輩方、これ以上、心さんの後押しをしてほしくないっす。だって、このままじゃ……
「……んー、だよな。渡してみる」
ほら、心さんが渡す決意しちゃったじゃん。
「おぉ!ついに心が!」
「でも、一度振られてるしなー」
「友チョコだからって渡したら?」
「あっ、そうか!その手があったな」
そう言いながら通り過ぎる心さん達。俺の心はどんどん落ちていく。うっそ、マジで渡しちゃうじゃん。友チョコと言う名の本命を。
「そういえば、あの子はどうなの?」
すると、1人の先輩が立ち止まって心さんを見た。あの子、という単語に俺の耳も反応する。
「ん?誰だ?」
「ほら、あの背が高い……剣道部の後輩!」
「背が高い?……あぁ、原田のことか?」
えっ、ま、まさかの俺の名前出された感じ!?
「どうなの?結構仲良さそうじゃない?」
「年下ってのもいいね~」
上機嫌な先輩の会話が交わされるものの、心さんの声は聞こえてこない。な、なんて答えるんだろう……気になる。


