心さん、そろそろ俺にしませんか?




「でも、チョコ受け取ってもらえるかな?」


「大丈夫だって~」


女子ってすごい。俺達男子が同じ教室にいるのに、平然とバレンタインの話をする。中には、ドキドキしながら聞き耳立てている男子もいるのにな。


「優生く~ん」


あーもう嫌だ。俺はイチを無視して再び弁当を食い始める。


「ねぇ知ってた?バレンタイン明日だよ~」


え。


「その反応は忘れてたな?」


「あ、わ、忘れてねぇし」


「心さん、渡しちゃうのかな~?」


「……そうだな」


「おっ、そこは否定しね~んだ?」


「否定してどうなる」


このテスト期間は心さんの姿は見かけたけど、会話はしていない。だから、ぶっちゃけ西川先輩にチョコを渡すかは……知らない。


「今日から部活始まるし、チャンスは部活終了後だ!よし、チョコねだりにいこう!」


「行かないから」


─────☆


「キャプテン!明日もらえるといいっすね!」


「いい報告待ってますよ~!」


部活終了後、キャプテンを冷やかす部員達をよそに、俺はイチと部室を出た。というかイチはついてきただけだ。