「……おい、お前のせいだぞ」
「そうムキになんなよ~。前にも言ったろ?心さんのこと好きじゃないって」
「じゃあ誰」
「言わな~い。変な同情とかいらないし」
「あっそ」
人の恋路には首を突っ込むくせに、自分のことは何も話さないのかよ。ったく、ワケわかんねぇ。
ガラッ
「すまん!只今戻った!」
すると、ドアが開いたと同時にキャプテンが顔を出す。途端に部員達は、さっきの恋愛話のことを質問攻め。もう、佐原先輩の怒る声も届いていない。
「ラッキ~♪優生と恋バナできるな!」
「アホ。俺はしねぇ」
イチを無視してシャーペンを動かしながら、耳はキャプテンの話へ集中していた。
話によるとキャプテンは、チア部の部長であるサワさんに片想い中らしい。それでアタックをするものの、なかなか気づいてもらえないみたいなのだ。
「どこかの誰かさんと似てるね~」
教科書に目を通しながら呟いたイチ。コイツ、やっぱり好きになれねぇ。
そして、部員達から応援してます!と、熱い言葉にデレつつも、勉強しろ~!と雰囲気を戻していくキャプテンだった。


