そう思っていたのに


映画が終わる頃、あたしは鼻水を垂らして号泣していた。








「しん太郎…良かったねぇ……ひっく…ずび」




映画館を出てもまだ泣きまくるあたしに陣は若干引きぎみだ。





「とりあえず…鼻水かめば?」


「う…うん…」





好きな人に鼻をかむとこみられるなんて恥ずかしいな…


なんて思いながらも、あたしはティッシュで思いきり鼻をかむ。


背に腹は変えられない。






「陣……ありがとうね」


「あ?」


「今日は素晴らしい映画を…あたし本当に感動しちゃったよ」







へへ…と照れながら赤い鼻であたしが笑うと、陣も優しく笑い返してくれた。