それからというもの、お母さんは本当に壊れてしまった。
料理を作るのが大好きだったお母さんはコンビニ弁当を買ってきてはそれを食べる毎日。
部屋は歩ける程度に私が片づけたけど、お母さんはすぐに暴れて片づけても片づけてもきりがなかった。
たまっていくゴミも捨てず、ハエがたかっていく台所。
毎日家に帰るのがしんどかった。
そしてある日とうとう、お母さんは私に手を出し始めた・・・。
「何でお母さんの言うことが聞けないの!?」
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・」
最初は顔をはたかれたり、腕を叩かれるぐらいだった。
でもそれはだんだんエスカレートしていって・・・。
終いには殺されそうになった。
「おか・・・・あ・・・さ・・・」
「何であんたなの?
何であんたが生きてるの・・・?
何で、何であの人じゃないの!?」
「おか・・・」
「あの人を返してよ!あんたなんていらないっ!
私はあの人さへいてくれればよかった・・・!
あんたが・・・・あんたがあの人の代わりに死ねばよかったのに!!」
ギュッと私の首に巻きついたお母さんの手に力がこめられる。
悲しかった。
苦しかった。
お母さんは私よりお父さんの方を何百倍も好きだった。
私は・・・ここにいちゃいけない存在だったんだ。
お母さん、ごめんね・・・。
私はもうこの時死んでもいいと思った。
だけどお母さんはふと力を緩め、ふらふらと家から出て行った。
私もここから逃げ出したかった。
でも散々殴られていた私は動く気力もなかった。
それから何日立ったのかわからない。
お母さんはあの日出て行ったっきり戻ってはこなかった。



