青春部はじめました




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私のお母さんがおかしくなりだしたのは、お父さんが死んで間もなくのことだった。


「お母さん、やめて!!」


学校から帰ると家はめちゃくちゃになっていた。


「あああああぁぁぁぁぁぁ!!!」


狂ったように甲高い声で悲鳴を上げ続けながら家の家具の物を落としたり壊したりしていく。



「お母さん、お母さん!!」


私が何度呼びかけても、傍へ駆け寄って止めようとしても、片手で払いのけられ、止まることはなかった。


「やめて・・・やめてよ・・・!!」


お母さんと一緒にパンケーキを作るのに使った電子レンジ。


「ガシャンッ」


お父さんと一緒に作った風景画のパズル。


「ガシャンッ」


お父さんとお母さんといつも一緒に見てたテレビ。


「ガシャンッ!」


家族で撮った記念写真・・・。


「ガシャーンッ!!」


何もかもが壊れていく。


家族の思い出が壊れていく。


私の大切な物が・・・壊れていく。


私はただただお母さんに壊されていくのを見ていることしかできなかった・・・。